GW 南山城 古寺巡り(前編)

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はじめに

昨年、東博の特別展で見た南山城の仏像が印象深かったので、実際にお寺を巡って拝観した。

南山城は京都府最南部の木津川流域の地域を指す。木津の地名は、奈良に平城京が置かれた頃、東大寺や興福寺などの大寺院の建設に必要な木材が陸揚げされた場所(木の津=木の港)であったことに由来する。多くの寺が興福寺の末寺として栄え、平安時代から鎌倉時代にかけて優れた仏像が作られた。

後述するように、春や秋に期間限定で公開される仏像も多い。

バスも運行されているが、時間が限られていたので、なるべく効率よく回れるよう車を借りた。回った順番は、浄瑠璃寺→岩船寺→現光寺→海住山寺→恭仁京跡→蟹満寺→観音寺。

浄瑠璃寺

最初に訪問したのは当尾にある浄瑠璃寺。

浄土の池の西側に九体の阿弥陀仏が安置された本堂があり、現存唯一の平安時代の九体阿弥陀が安置されている。2018年から五年間、修理が行われており、最近ついに9体揃い踏みとなった。

阿弥陀は理想の未来にいて、進んでくる衆生を迎える来世の仏である。極楽往生の仕方には生前の行いや信心深さに応じて9段階あり、この9段階の極楽往生になぞらえて作られたのが九体阿弥陀である。

説明書きによれば、九体阿弥陀を安置する堂宇はかなりコンパクトで、もともと建物内で仏像を拝むことを前提としていないのだという。

太陽の沈む西方浄土に迎える阿弥陀仏を西に向かって拝むことができるように、東向きにし前に浄土の池を置き、その対岸から文字通り彼岸に来迎仏を拝ませていたようだ。

浄土の池の対岸より、九体阿弥陀が安置された本堂を望む

東博では、一体だけ東京に出張されていたが、今回は九体揃っていたため、その迫力に圧倒された。

今回は午前中に訪れたため、日光が一日で最も強く差し込んでいたと思われる。また別の時間や季節に訪れたらどのように感じられるのか、気になった。

岩船寺

岩船寺は浄瑠璃寺と同じく当尾にある。あじさいをはじめ、四季折々の花で有名のよう。GWはあじさいには早かったが、ツツジやヒメウツギが咲いていた。

ご本尊は阿弥陀如来。阿弥陀如来の四隅に立つ四天王が邪鬼に乗っていないのが珍しいと思った。

その代わり、三重塔の木彫りで鬼を見つけた。隅鬼(天邪鬼)と呼ぶそう。かわいい。

三重塔の隅鬼

浄瑠璃寺と岩船寺の間はハイキングコースがあるそうで、登山の恰好をしている人も多かった。いつか歩いてみたい。

現光寺

現在は無住の寺となっており、海住山寺が管理している。ご本尊は十一面観音坐像で、通常非公開だが、GWは3日間だけ特別に開帳していた。

大きな像というわけではないが、玉眼の光が印象的だった。

かつて出火した際に、地域の人たちが濡れた布団に包んで仏像を避難させた話や、博物館に寄託する話が出たが、自分たちでお世話させてほしいという地域の意向を受けて今のような蔵ができたという話を教えてもらった。

地元の人々が守り伝えてきた仏像であるということがよくわかった。

近くの薬師寺で食べた薬膳ひよこ豆カレー。おいしかった。

後編は海住山寺と蟹満寺、観音寺。

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